猛烈な７月を過ごしたため、30℃で「涼しい～」と喜び、大型台風に翻弄された８月でしたね。
まだまだ暑さは残っていますが、日々の生活の中に季節の移ろいが感じられる季節になりました。

今回はデンマークの9月をご紹介いたします。

今年は存分に夏の好天を楽しんだデンマークですが、９月に入ると目に見えて日が短くなり、気温も下がります。
コペンハーゲンの9月の最高気温の平均は17℃、最低気温は10℃ですので、東京の11月ぐらいの気候でしょうか。

木々は黄金色に染まり、落葉が始まる。そんな風景の中、思い出がいっぱいの夏をふり返りながら、人々は日々の暮らしを取り戻して行きます。

秋色のローゼンボー城
地下の宝物館には王冠など王室の財宝の展示が
Photo by Martin Heiberg
Source:Visit Copenhagen

 

そして、デンマークの9月は気持ちが徐々に室内に向く季節でもあります。 音楽や演劇、バレー、美術館や博物館、室内で行うハンドボール、バドミントン、体操、水泳に人々が戻ってきます。

手つかずの自然を借景するルイジアナ近代美術館
Photo by Ty Stange
Source:Visit Copenhagen

 

デンマークではクラブに所属してスポーツや趣味を行うのが一般的です。
約８万のクラブがあり、90％以上の人が何らかのクラブに入っていて、平均で2.8のクラブに所属しています。
クラブを組織すると、施設や設備を無料で利用でき、助成金を受けられます。

デンマークのクラブやグループは「体操」から始まりました。
体操は、19世紀後半の農民階級の現代化に合わせ、体を動かすことは精神的な健康増進にもつながり、健全な社会の育成に役立つと考えられ始められました。
またリズミカルなデンマーク体操は、日本のラジオ体操の構築に大きな影響を与えています。

クラブは、スカンジナビアの連帯・調和・平等という考えに合っています。 齟齬が生じれば、分裂して新しいクラブ/グループを組織して柔軟にその形を変えていきます。

また、デンマークでも人気が高いサッカーですが、サッカーをしたい子は地域のサッカークラブに所属します。
トレーナーたちは、楽しくプレイすることに、そして成長期の心身の健全育成に心をくだきます。
やがて子供たちが技術や勝敗にこだわる時期がくれば、自分たちでその方法を模索工夫することをよしとします。

子供の自主性を尊重し見守るデンマークの教育姿勢はサッカーでも
Photo by Anders Kjærbye
Source:Visit Copenhagen

 

子供たちにとって学校の他にも世界があることが、デンマークにいじめが少ない理由のひとつと言われています。クラブ活動は、親や教師以外の大人、クラスメイト以外の子供たちと知り合って、より豊かな人間関係を育む機会となっています。

そして9月にはデンマークの人々が大好きなリンゴの収穫が始まります。 どの家の裏庭にもたいてい小さなリンゴの木が植えられていて、リンゴはデンマークの国民的フルーツと言えるでしょう。

庭のリンゴの木はデンマーク人の原風景
Photo by Niclas Jessen
Source:Visit Denmark

 

北欧のリンゴを使った菓子の定番は、アップルケーキ。
バターと小麦粉と砂糖と卵とリンゴ、素材のおいしさが伝わる焼き菓子です。
ジュースにしたり、ジャムにしたり、ペーストリーにも料理にも使います。 もちろん手軽なスナックとして丸かじりは皆がします。

 

そして、アップルサイダーは、ビールより高くワインより安いアルコール飲料として人気があります。
サイダーというと、日本では酸味のあるさわやかな炭酸飲料で、アメリカでは圧搾したリンゴ果汁ですが、北ヨーロッパではリンゴのアルコール発砲飲料（アップルワイン、シードル）を指します。特にデンマークのビールメーカー、カールスバーグが製造するアップルサイダーSomersbyは高い人気を誇っているそうです。